LAZY BONE DXのZAGさまより頂きました。残暑見舞い。
猿ですよ。猿。ユニですよ。バットですよ。メットですよ。部活ですよ。野球ですよ。
青空ですよ。霞んでフェンスですよ。背中ですよ。肘ですよ。手首ですよ。振り返りですよ。
猿野ですよ。野球ですよ。笑顔ですよ。歯を見せてニカッですよ。

腹の底から萌えが湧き上がる。

どうですかコレは! ZAG様はエスパーですか? 私の萌の泉に無限のエネルギーを注いで下さる。
この萌に私はどうお礼をしたら! もう涙が出そうです!
肩の十二支校章が眩しい! 本当にありがとうございます!!

…………そしてやっちまいました。すいません。一本書きました恥ずかしい!
こんな素晴らしい絵を見ながらSS書くなんて幸せだけどなんて恥ずかしい!

怒らないで下さる方だけ↓スクロールどうぞ……























































 ユニフォームに着替え終わってアップを始めようとしたら、沢松が取材に来ていた。
 いつもどおりに、猿野が軽く声をかけてから通り過ぎようとすると、

「秋来ぬと〜目にはさやかに見えねども〜」

 汗でべとつくカメラを制服のシャツの裾で拭きながら、げっそりとした声で沢松が呟いた。
 
「あ?」

 聞きとがめて猿野が振り返る。
 一緒に居た子津が
「藤原敏行っすね」
 と頷いた。
「何だソレ?」
 全くわかっていない様子の猿野に子津が突っ込む。
「猿野君、中学校の国語でも古今集習ったでしょう?」
「ンな昔のことは忘れた! 知らん!」
 と猿野は胸を張る。

「知らないんすか?」
 少し驚いた様子を子津は見せる。けれども和の感覚が薄れつつある現代っ子はこんなものだろうか、と思い直し、威張れないことを威張っている猿野に丁寧に説明をしてやった。


   ”秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風のおとにぞおどろかれぬる”


「って藤原敏行…ていう平安時代の人が詠んだ有名な短歌なんすよ。まあ、暦の上では秋になったけれど、まだまだ暑くて秋が来たなんてそう目にははっきりとは見えない、だけど風の音にふと秋を感じるなあっていう意味の歌なんす」

 ほえーと言う猿野は半分わかっていない顔だ。反応が薄い。代わりに沢松が噛み付くように怒鳴った。

「この生っぬるい風のどこが秋だ!? 夏だろ? 明らかに夏だろ? 秋の音って何だ? ちくしょう何が立秋過ぎだよ残暑だよ埼玉には秋なんか来ねーよいつまでも夏だよ!」

 ヤケっぽい沢松の顔をじー、と見て、猿野は少し首を傾げた。
 それから空を見上げて、その青いのをしっかり確かめる。
 大会前より少し高くなったかもしれないが、そんな昔の空なんてあまり憶えていない。空は青ければそれでいい。

 仏頂面の沢松に視線を戻して、まあそんな怒んなよ、と猿野は笑った。


「とりあえず晴れてんだからいーよ、野球日和だろ!」

 言ってグラウンドに駆けていく猿野の背中を見送って、沢松はやれやれと溜息をついた。
「元気だねえ、高校球児様は……」
 呟いて、もう一度溜息をついた。少しだけ満足気な溜息を。

 くす、と隣で笑いを漏らして、それじゃ、と子津も元気に駆けてゆく。


 おっしゃーやるぜ! と遠くから気合のこもった猿野の怒鳴り声が聞こえた。
 それに応じて、冷やかしやら同意の声やらが一斉に上がる。

「元気、だねえ……」

 再び呟いて、うっしと自分にも気合を入れると、沢松はカメラをグラウンドに向けた。





「秋の野球日和」  2004/09/09
あの、笑顔にしてやられました。「野球日和だろ!」であの表情をしてもらえたら!(悶え)
ご迷惑と思いますが残暑見舞い返しということでZAG様に捧げます。精一杯です。ありがとうございました!