「猿野君のお宅に遊びに行きたいのですがかまいませんでしょうか」
 日曜の部活が終わった後にいきなりモミーに声をかけられてオレは正直めんくらった。
 モミーがオレと「遊ぶ」てのは大体一年連中で団体行動するときくらいで、それも犬飼のお守役としてついてくるようなもんだから、厳密に言えばオレとモミーは一緒に遊んだことなんかない、と言えるかもしれない。
 それが、わざわざ、帰りにどっか寄るとかでもなくいきなりオレんちときた。そらびっくりだ。
「あ、猿野君のお宅がご都合悪ければ私の家にきて頂いてもよろしいのですが」
 いつも訊きたかったんだけどどうしてモミーってそう丁寧語なんだ?
 別にそれがモミーらしいから悪い意味で気になるわけじゃあないが時々気になる。
 丁寧語ってしゃべりにくいじゃんか。タメ語より文字数とか多いし。
 と、それは置いといてだ。

「んー、オレは別にどっちでもかまわねー……けど、オレんち汚ねーしあんまりオススメしねえかな。今回はオレがお邪魔していいか? また別の機会にオレんち呼ぶからよ」
「わかりました、ありがとうございます。では私の家にいらして下さい」

 いやあの、フツーはダチを遊びに誘ってOK出たからって礼とか言うもんか?
 断られて文句を言うならわかるんだが、オレは、例えば子津んちに行きたいつっていいっすよと言われた時にありがとうなんて言ったことは一度もない。よっしゃーとかなんとか喜ぶだけだ。

 何つうか、モミーって変わってるよな。