オレは、こんなちんくしゃな猿なんかのどこが良いんだろう、と硬い筋肉でがっしりした足を開かせながら思った。
 竿だの玉だの、その奥の穴まで丸剥けにしてまんじり見ている自分が心底不思議でならない。

 茹でたような顔をしかめてはぁはぁいっている猿は、足をばたつかせ、竿はぷるんぷるんしているし、玉はむにむにしている。足の付け根から向こうはローションでつるつる光っていた。
 手のひらがじっとり汗ばんでいる。その手で掴んでいる猿野の膝裏も汗ばんでいて、あわせてぬるぬるするほど二人で汗をかいていた。

 こんなののどこが良いんだろうと思う。
 すくなくともきれいではない。かわいいというよりは滑稽だ。
 
 だが、こんなものを見て自分は今は興奮するし、後から思い出してしみじみと嬉しくなったりするのだ。
 不思議すぎる。

 考え込んでいたら、顎を蹴られた。一瞬本気で視界がぶれた。
「テッメエ、なにをじろじろ見てやがんだっ変態! アレか、視姦か、羞恥プレイか! オレのちんこなんか見て興奮すんのか! 本当にてめえは変だ!」

 実は羞恥心とか、こいつにもあるんだなあと実感しながら、わめく猿を手探りでなだめ、興奮するもんはしょうがねえだろ、とぼやいたら、ただでさえ由緒正しく日本猿なみに赤かった猿の顔がさらに茹った。そして目をうるっとさせ、何もしてないのに、押し殺すように二、三度喘いで、
「言葉攻めかよちくしょうっ」
 と、かぼそい声で毒づいた。

 そうかこれが言葉攻めか。
 ぽん、と手を打ちたい気分でオレは悟り、今にも弾けそうなほど赤くなって震えている耳たぶに覆いかぶさるようにして「しょうがねえ、しょうがねえ」と囁きながら、猿の中に押し入った。










「しょうがねえ」  2007/12/02
驚くほど普通に犬猿。