「love you 」

悪魔が私に言わせた一言を
あなたは意地悪く砂浜に書き留めた

赦された忘却
許容する記憶

微笑まないで微笑まないで
傷ついて怒ってもう行ってよ

馬鹿にして呆れて
だけどどうか笑わないで


塞いでも塞いでも切り開いてしまう逃げ道を
あなたは意地悪く砂浜に書き留めた


どうせ消えてしまうように
でもまた逃げられるように



どうせ消えてしまうように
愛してるなんて、重たい言葉だから。














こんなに
誰もが歩んでしまった

歩いて出会って
出会ったから愛して
愛したくせに
また歩いて
離れて
会えないくらい
離れて
こんな遠くまで



愛したくせに離れて
どうして止まらないんだろう。
ひとと、いうものは。












「くまとダンスを」

おねむはまだ雲の上
届かない手を下ろして
彼の手をとりました


ゆらゆら
てくてく
おしりでリズム
ステップ
タップ

手を繋いで
頬擦り
そしてキス


ふかふかの毛皮のような
夢のふちにたどり着くまで、

くまとダンス。



ゆらゆら
眠れない予感を、楽しさにかえて。












「おかえり 可愛い夢」

あなたにもらったもの
というのは
振り返ってみれば
多くが
わたしがあなたにあげたもの と
同じものでした


わたしは
あなたのためにあの場所にいつもいて
ことばを
うたを
笑顔を
キスを
抱擁を
信頼を
そしてただあるだけの私の存在を

あなたのためだよ、と


そういえば、
ばかみたいに一生懸命に
差し出していたのでした



ばかみたいに
ポロメリア。












「押し潰して」

押し潰してやりたい。
あなたを、私の心臓ごと。
体だけでいいから、
ぺしゃんこに歪ませてやりたい。



私の心臓ごと
ぺしゃんこになって、
ぎゅっと一緒になってしまえばいいのに。












「Still」

まだ憶えている
まだ悔いている
まだ憎んでいる
まだ恐れている
まだ愛している
いま愛している



まだ憶えている
まだ、消えない。












「五月の雨」

五月の雨
霞の陽射

重い痺れ
寒い寒い

春が来たのに
凍えている
春は過ぎるのに
凍えている


私はどこへ行ったでしょう?
ここには居ない
ないない
ないはずよ

あんなに愛されてがんばって
与えられて幸せで

こんな寒い場所にいるわけがないもの


五月の雨
霞の陽射

重い痺れ
どこに居るのかなあ

寒い
寒い



霞の陽射
ほんとの私はどこにいるのかな