「全ての前置き。」

好きだよって言おうとするたびに
胸がいっぱいになる

幸せすぎて、いつも言えない。



全ての前置き
いつも言えない。いろんな人に。














あなたをきずつけようとして
ばかなことばをつかったのに、

あなたはそのことばが
わたしをきずつけるのだといって
おこるのです。


やさしすぎて、
また、
わたしはたちどまってしまう。



やさしすぎて
「置いていけばいい」と私は言いました。
「馬鹿」とあなたは言いました。












「チェリー」


風と白光に晒した爪は
信じられないほど綺麗な桜色だった

白い手と指と透き通る薄血色の爪は
これ以上ないくらい
あの人の首に食い込ませるには
ふさわしいと思った

気狂いに気持ちのいい
美しい朝


絞めたい首はここにいないから
この爪と同じ色の花びらになったつもりで

近くにいる人に愛をあげようと思う



狂う代わりに
春には桜並木が満開になった通学路を歩きながら。
あの花びらと同じ美しい色をした爪を見て。
狂う代わりに、笑顔で居たいと、そう思った。














からっぽだった宝石箱に

最初の宝物を入れる


さよならの心と一緒に



さよならの心
「もういい別れる!」という内容のもう少し長い詩でしたが
恥ずかしいので大部分削減。エコエコ。














最初からお腹が空いている時は
歌もうたえないし絵も描けない。



平和が必要
空腹のときに
戦争のことを考えていたようです












「帰り道も忘れて」

右手にも、左手にも、
何も持つべき物がなければと、
思うときがある。

靴紐だけをしっかりと確かめて、
ただひたすら、
ひたすらに、
走れたらいいのに



帰り道も忘れて
私の両手は抱えすぎている。
ほんとうは、がむしゃらに走ってみたいのに。












「悪いお姫様」

どうしよう
死ぬほど淋しくて
こんな時にだけ現れてくれる
都合のいい王子様が欲しい


あたしは本来ドライな人種で
メル友作ったってメールは日に一度
構ってくれる人の手は当たり前に振り払う
望んでるのはあたしじゃなくって誰かだとあんただと

踏みにじるのは当然の権利で
そんな踏みにじられてくれる世界を愛して
あたりまえに差し出される手を
そうして想い寄せられる時を切捨て

あたしは愛されるしか能がないのと
無表情で呟き続けた

あたしは愛されるしか能がないの
だから努力はしないのよ
くだらないあたしを愛して
切り捨てられてもまだ愛して
いつまでもいつでも愛していてよ

そういう酷い子でいればいるほど
あつかましく愛してもらえると思ってた


どうしよう
死ぬほど淋しくて
こんな時にだけ現れてくれる
都合のいい王子様が欲しいよ



都合のいい王子様
真夜中だから、誰にも助けを求めたりできなくて。
いっそこんな悪い子だったら、もしかしたら。
誰か、を、呼べたかもしれないなって。